津軽三味線を習い始め、のめり込むと撥をこれでもかと叩き込み、練習をとことんするようになる。その繰り返しをすることで右手首が酷使され、撥を持つたび痛くなる。これが津軽三味線腱鞘炎だ。さらにこの腱鞘炎は左手、特に薬指の使いすぎによるものもある。 この腱鞘炎に見舞われた場合、その練習時間の長さと津軽三味線に対する熱意があり、とてつもない稽古をしているんだと師匠や仲間から賞賛を受ける。ある意味、腱鞘炎にならないと練習量が足りないとみなされてしまう傾向すらあるが、これは非合理的な精神論というものだろう。腱鞘炎にならずに上達するなら、それに超したことはないのだ。 現実には、手に力が入りすぎているため、または無理なフォームで演奏しているために起こる疾病。良いフォームで、力を抜いて、オーバーワークを控えて稽古していればまず腱鞘炎の心配はない。ピアノの世界では、「腱鞘炎になるヤツは下手だ」として見下されてしまう傾向にある。 腱鞘炎になれば、回復まで稽古ができない。その上再発の危険もあるし、無理に稽古を続ければ指の自由が利かなくなる。何はともあれ無理な練習を避けることが大切。必死の稽古は確かに素晴らしいが、技術に比例した自己管理能力も身につけたいものである。
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