津軽三味線の撥として最適の素材。ウミガメの一種であるタイマイの甲羅を乾燥させたもので、撥の先端部分に使用されている。現在ワシントン条約により輸入禁止となっており、今使用されている鼈甲は、禁止以前より輸入された在庫で加工されているらしい。「密輸」という言葉が脳裏をかすめるが、口に出してはいけない。 タイマイはかつて伊豆南部、紀伊〜四国近海、また奄美沖縄近海にまで広く生息していたらしいが、現在では東南アジアのごく限られた海域に残るのみ。一回の産卵数が非常に少ない上、1メートルの大きさに成長するまでおよそ60年を要する。鼈甲が高く売れるだけでなく、肉も卵も美味で栄養豊富、しかも泳ぎが遅くいためモリ一発で簡単に仕留められてしまう。というわけで、守ろうという気がなければ早晩絶滅することは確実である。
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