青森県弘前市で行われる津軽三味線の競技大会。津軽三味線の大会では最も古く、1982年に第1回大会が開催され、以降毎年開催されている。現在の主催は「21津軽三味線ネットワークジャパン」(会長・笹森建英)。審査員は新聞社の社長とか、「民謡愛好家」という肩書きを持つ人とか、正直よくわからないが、それでも木下伸市、上妻宏光をはじめ、渋谷和生、進藤正太郎、松田隆行などの有名演奏家を多数輩出している。 当初、審査委員長は大條和雄氏だったが降板、実質的には故・山田千里氏主宰の大会だった。そのせいか山田流、または山田流に近い奏法・楽曲が重視される傾向にある。基本的にはスローテンポで重量感ある演奏が好まれ、トリッキーな手やハイテンポの演奏は好まれない。また、原則として竹山流の演奏も審査対象外となっているようだ。 クラスは男女C級、男子B級、男子A級、女性、ジュニア、シニアに分かれている。本来は修得年数による分類で、C級は3年以内、B級は4年以内、A級は5年以上とされていたのだが、05年から「以内」が「以上」と書き換えられた。実際、この修得年数による分類を厳守していた人は稀だったので、現実に即した変化と言えるだろう。通常、大会は初日の予選と翌日の本選の二日間に分かれる。若手はC級から出場し、各級入賞を経てA級に挑むのが基本。現在、A級の最年少優勝記録は浅野祥の14歳、女性部門は塙智恵の17歳となっている。 A級は三連覇、女性部門は二連覇が最高の栄誉とされているが、過去、三連覇を達成したのは渋谷和生(元ザ・セコンド・山田千里)、進藤正太郎(踊正太郎)、松田隆行、浅野祥の四名。女性部門で二連覇を達成したのは成田里織(山田里千美)、中村春子の二名のみとなっている。なお、ここに挙げた6名のうち、松田隆行と浅野祥を除く4名は山田流の出身。これがこの大会の傾向を端的に表していると言える。 これに限らず、この大会には妙な噂がたくさんある。特定の奏者に限ってタイムオーバー(減点対象)を知らせる太鼓が鳴らないとか、人によって突然マイク音量が大きくなるとか、逆に小さくなるとか、青森県出身者や「全国津軽三味線協議会」会員の流派は優遇されるとか・・・それぞれの真偽は測りかねるが、何かと噂が絶えない大会であるということだけは断言できよう。 しかしながら、この大会は「ありがたみ」の演出が非常に巧みである。CD収録はもちろんのこと、パンフレットに前年の全入賞者名を書き連ねたり、歴代優勝者名を頻繁に明示したり、また団体優勝チームに持ち回りの優勝旗を授与したりといった演出は、出場者の受賞意欲をかき立てるだけでなく、入賞者の名誉を保ち、大会の権威を十分に引き上げている。この点については見習うべき点が多く、他大会ももっと工夫を凝らしてもらいたいところだ。 もちろん出場は自由。例年5月2日〜5日の間の2日間で開催されている。
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