アメリカ合衆国のこと。 「世界に挑戦」と言えばアメリカ公演、「世界デビュー」と言えばアメリカデビューを指す。アジアは「世界」に数えられない存在なので、台湾や韓国で公演を行っても、「世界デビュー」とは言わない。ましてベトナムやタイなどの東南アジアは「世界」のセの字にも入らない矮小な存在なので、十分に気をつける必要がある。 日本、それも津軽というごく限られた地域で発達した芸能である「津軽三味線」が、「世界」に進出する意義がどこにあるのか、そこは奏者それぞれの考え方や事務所の方針等、いろいろな動機があるので、一言で説明することはできない。しかしとにかくも、「世界(=アメリカ)」という言葉を冠することで、幅広い世代をかなりビビらせることができるのは事実だ。いわば、三味線界における日米安保条約である。 世界デビューの際には、名前を英語化・ローマ字化するのが基本。さらに「世界」化するためには、文部科学省通達に逆っても、姓と名を逆に書くべし。また、三味線の皮が犬であることがバレると、「世界」の白人が激怒し、野蛮人扱いしてくるので口外禁止である。 かように「世界」とは、日本人としての、また三味線奏者としてのプライドを捨ててまで挑む価値がある場所だということだ。
【ローマ字】 →関連事項 【英語崇拝】 →関連事項 【皮】 →関連事項 |